「Universal Edition125周年作品募集」に拙作、弦楽四重奏曲《双葉》が入選しました。これはUniversal Edition(以下UE)所属作曲家限定の作品募集で、入選作品は2026年11月11日、ウィーン1区にあるオーストリア国立図書館音楽部門のコンサートホール「Palais Mollard(パレ・モラール)」で演奏されます。弦楽四重奏曲《双葉》は、ISCM World New Music Days 2026 ブカレスト大会に入選した曲です。 応募要項に、曲が同図書館の音楽コレクションとどう関連しているか、その説明も求められていましたが、後日、クラシック音楽全般との関わりでも良いとのメールがあったような…そこで僕は自分の作曲の信条を要約した覚えがあります(応募から半年以上経っても音沙汰が無かったので落選したと思い、応募関連のメールを削除してしまいました)。
拙作 – Dicotyledon(双葉)…演奏前チェリストがチューニングに2分以上費やした。活発な箇所がベラルーシの四重奏団よりも指定のテンポに近い。演奏が終わり、第1ヴァイオリン奏者(女性)に手招きされ、ステージ上で彼女に"I was hooked!(釘付けになった)"、チェリストに「ナイス・チューニング!」と拍手に負けないよう叫び、奏者全員と握手した。席に戻る際、客席から多くのスマホのカメラが僕を捉えた。
Adrian Pop (Romania)– Mătasea şi metalul (The Silk and the Metal)…一見古典的な素材をシュニトケのある種の曲のように現代に蘇らせる。音大の作曲の老先生が「私は現代の作曲のトレンドには異を唱えたいのだ」と言っている声がヒシヒシと感じられる(やはり'51年生まれ)。それには同感。素材も拙作と似ている点もあるが、僕の作りたい音楽はこうでは無い。1曲目にも共通するが、こういうことをするならこの編成では物足りない。
ISCM USA Section – Charles Peck (1988年~) – Arcade…コンサートのフィナーレに相応しくトゥッティのfの和音のトレモロに始まり、異なるフレーズが交互に現れそれらがどの様なカタストロフィーを迎えるのか期待させる。それは想像を超えるという程では無かったが聴衆は沸いた(満員の3/4)。
翌朝9:30、ホテルをチェックアウト。月曜、火曜は美術館が休館なので空港まで17km歩くことにした。前半は建物も興味深く、緑豊かで公園もあり快適。途中博物館の様な施設にバスで団体が来ていたが、大きい施設らしかったのでチケットを買い、入った。Muzeul Naţional al Satului(国立村落博物館)。17世紀から20世紀の家屋が一つ一つ解体され、列車や荷車、船でブカレストに運ばれ、現在のヘラストラウ湖畔にある博物館の敷地に再構築された。歩いていると50代位のルーマニアの大らかなご婦人にスマホのシャッターを押してくれと頼まれ、スマホを向けると青い尖り屋根の白い小屋にもたれ、片腕を頭上でくの字に曲げ、反対側の足もくの字に曲げる片足立ちのポーズを取った。俺をナンパしてるのか?…結婚式に遭遇。レストランで田舎の家庭料理の昼食。再び空港へ歩く。
以降、建物は普通の現代のものだし道路はアウトバーンのようで車がひっきりなしに飛ばすし、足は不貞腐れ、汗まみれ、軽い日焼けもし、只々苦行。街並みのこういう展開はリヴィウもフィレンツェも同様だが、今回は距離が長く暑い。なぜこんな事を、と自問しつつも、その土地の上部だけで無い実態に触れたい。長時間フライトで拘束される反動で、嫌というほど足を使いたい。海外に来ると極めて贅沢な暮らしをするが自分はもっと地べたを這いつくばって生きる人間、数年に一度、この様なサバイバル体験も禊みたいで達成感がある。年輪として刻まれよう。 16時、空港着。トイレで下着と靴下を着替え。下着は白く塩を吹いていた。21:35発。 機内やバスで聞こえるルーマニア語はたまに日本語そっくり…ドンミロッシドンミロ(Ladies and gentlemen)。
雑音:移弦で、弦(特にA線)に対する弓の角度が大きいと弓の衝撃が雑音になる。また指の押さえが弓より遅い場合や、移弦で指が大きくまたぐと遅くなるし、泳いだ指が弦に触れてそれを弓で弾くとキーという雑音になる。大島氏曰く、またぐのでは無く「ずらす」…Dotzauerのアルペジオの練習曲で(No. 28, G dur)、それほど難しそうでは無いのに後ろの方にあるのは、その練習なのだろう。