池田 悟≪作曲家≫のArabesque

Universal Edition125周年作品募集に弦楽四重奏曲《双葉》入選:11月11日ウィーン

Universal Edition125周年作品募集に入選

Universal Edition125周年作品募集」に拙作、弦楽四重奏曲《双葉》が入選しました。これはUniversal Edition(以下UE)所属作曲家限定の作品募集で、入選作品は2026年11月11日、ウィーン1区にあるオーストリア国立図書館音楽部門のコンサートホール「Palais Mollard(パレ・モラール)」で演奏されます。弦楽四重奏曲《双葉》は、ISCM World New Music Days 2026 ブカレスト大会に入選した曲です。
応募要項に、曲が同図書館の音楽コレクションとどう関連しているか、その説明も求められていましたが、後日、クラシック音楽全般との関わりでも良いとのメールがあったような…そこで僕は自分の作曲の信条を要約した覚えがあります(応募から半年以上経っても音沙汰が無かったので落選したと思い、応募関連のメールを削除してしまいました)。

©UE & オーストリア音楽資料研究所

趣旨

2026年、UEは創立125周年を迎えます。この記念事業の一環として、オーストリア国立図書館は、オーストリア音楽資料研究所(Institut für Österreichische Musikdokumentation)と共同で室内楽コンサートを開催します。
このコンサートは、UE、オーストリア国立図書館音楽部門、そして現代音楽シーンとの密接なつながりを浮き彫りにすることを目的としています。
新しい音楽は、何もないところから生まれるわけではありません。それは、世代を超えて受け継がれる音楽的記憶という肥沃な土壌から育まれていくものです。オーストリア国立図書館音楽部門は、歴史的所蔵資料を保存するだけでなく、現代の作曲家たちとの継続的な対話を維持しています。同部門は、この交流を積極的に促進することで、今日の作曲家たちの声が、同館が保存する進化し続ける音楽的記憶の一部となるよう努めています。
本公募では、同部門に保存されている遺産と関わる作品、あるいはこの豊かでユニークなコレクションに対する作曲家自身の個人的な関わりを反映した作品の楽譜を募集します。オーストリア国立図書館の音楽コレクションに関する詳細は、コレクションのウェブサイトまたはカタログでご確認ください。

応募要項

  • 楽器数の上限:5
  • 作品の上限演奏時間:10分。音源を必ず添付してください。
  • 締切:2025年10月31日

応募作品は、オーストリア国立図書館音楽コレクション所蔵の楽曲に関連している必要があります。関連性が一目でわからない場合は、その旨を説明文に明記してください。
本コンサートシリーズは作曲家との直接的な交流を非常に重視しているため、選出された作曲家には演奏会へのご出席を心よりお招きいたします。

UE出版: 尺八とギター、弦楽三重奏のための《Ki-e》

※令和8年熊本地震で被災された皆様にお見舞い申し上げます。

Universal Editionから出版:尺八とギター、ヴァイオリン、ビオラ、チェロのための《Ki-e》(2008)
尺八とギターそれぞれの伝統を拡張する大胆な楽想が、時に可能性の限界まで押し進め、表現の幅、対話の織物、和声的な次元、そして音色を豊かにしていく。聴き手はこの音楽の複雑な細部を追うこともできれば、夢の中で自由に彷徨ったりすることも出来る。
「キエ(帰依)」は日本語で、仏教用語であり「献身」を意味する。そして発音(および意味)は、偶然にも「キリエ」(祈りの形式の一つ)という別の宗教用語に似ている。また、この曲の調性であるホ短調(Key-E)を暗示している。
尺八室内楽国際作曲賞2008」(オーストラリア)第3位。尺八奏者のアンドリュー・マックグレガー氏に献呈。

37ページ:€35.95。等倍サンプルページ11 (Show complete preview)、日英のプログラムノート (Show in JPN)、4分のダイジェスト音源、ライブ音源のYouTube。

※ご購入は (Print-On-Demand / 印刷版・送料別) または (immediately available as PDF / PDF・即閲覧可) を選び、(Details)→(Add to shopping cart) から。
スコアは (Dirigierpartitur / 印刷版) または (digitale Partitur / PDF)。
全国の楽譜販売店でも注文できます。

YouTube

scodo 5周年アンケート (UE)

今年はUniversal Editionの125周年、またscodo*の5周年…それを祝して5月にscodoの作曲家にアンケートがあり、僕の回答(英文)も23名の中に選ばれ、サイトに掲載されました。
* scodoは、Universal Editionから楽譜をオンラインで出版するツール。

↑ マーラー、R.シュトラウス、シェーンベルク、ベリオ、ペルト…UE125周年の125曲

私たちの出版ツールscodoの特に何を重視していますか?
― 楽譜が世界中で購入出来ること。アップロードも編集も、作曲家自身がブログのように簡単に出来ること。

scodoは作曲家としてのあなたの作品にどのような影響を与えましたか?
― 「世界の広大な座標」×「クラシックからの長大な時間軸」に自分を照らし出す意識が強まった。

Universal Editionの125周年を迎えた年に、個人的にどんなことを連想していますか?
― 特に近現代の楽譜の世界的に有名な出版社。

UE出版: フルートオーケストラのための《ネサンス》

Universal Editionから出版:フルートオーケストラのための《ネサンス》(2007)
マシュマロのような、レースの織物のような、風の囁きや唸りのような、そして立ち上る日本古来の音楽や素朴なメロディー…サイン波の特性を活用した白の階調による千変万化の彫像!
ピッコロからダブルコントラバスフルートまで143奏者が初演したフルートオーケストラ作品。2008年、第30回日本フルートフェスティバル in 東京・フルートオーケストラ作品募集最優秀賞。初演から19年後、若干の改訂を施しUEから出版。

大型スコア52ページ:€39.95。等倍サンプルページ15 (Show complete preview)、4分のダイジェスト音源、日英のプログラムノート (Show in JPN) 冒頭に全曲の音源リンク。

※ご購入は (Print-On-Demand / 印刷版・送料別) または (immediately available as PDF / PDF・即閲覧可) を選び、(Details)→(Add to shopping cart) から。
スコアは (Dirigierpartitur / 印刷版) または (digitale Partitur / PDF)。
全国の楽譜販売店でも注文できます。

訪・ISCM2026ブカレスト大会

オペラ

5月22日(金)21:45羽田空港発、イスタンブール空港乗り継ぎのトルコ航空。荷物は新調した中位のサイズの牛革製バックパック一つ。
23日(土)朝8:30ブカレスト、アンリ・コアンダ国際空港の入国審査を通過。ここから順調にホテルに着くと早すぎてチェックイン出来ない恐れがあり、片道110円で空港と市内を結ぶ路線バス(2台連結)に乗り、観光がてら往復した。13分間隔で走り往復60分。街の発達度はフィレンツェリヴィウの間くらい。全行程の1/3は現代的、中心部になる程中世風の建物が増える。新しいが中世風にしている建物も。空港に戻り改めて電車でホテルを目指す。空港が改装工事中で案内表示が無効なので、工事の監督らしき男性に乗り場への行き方を聞く。電車は2両連結(1等と2等車)、30 分ごと。小田急の郊外の様な田園風景が続く中、のんびり走り、25分でISCMルーマニア支部の担当者から教えられていたブカレスト北駅に着く。バスから見た景色と大違いなので不安になり、近くに居た3人組の警官にスマホでホテルを示し、ここから遠く無い事を確認し、タクシーに準ずるBoltで11時、Hotel Lido着、チェックイン。高橋メアリージュン似の柔和な受付嬢(この様な顔立ちはブカレストに少なくない)。後から思えばスマホの地図に目的地をピン止めし、現在地を移動表示させれば歩いて行けた(2km)。

シャワーを浴びて付近を散策。ホテルに戻って近くの気軽なパスタ屋で昼食。配達中心らしくボウルは紙製。再び翌日の会場ARCUB Gabroveni Hallの下見に行く。そこだけ石畳の猥雑とした若者の溜まり場は、祭りの様な混雑。その一角が会場だった。その日はISCMとは関係無い講演会で、入口付近をぶらぶら見ていると学生風の関係者から声をかけられ、翌日のために場所を確認しに来たと答えた。緊急車両のサイレンを日に数回聞く。ホテルに戻り、チェックインの際渡されたISCM のプログラムや名札が入った布袋に、この日18:30開演のオペラのチケットがあるのに気づく。その時17:30。着替え、タクシーで18時前にブカレスト国立歌劇場着。

エントランスロビーで悪魔に扮した2人が猫のような仕草をする即興パフォーマンスがあった。演目「Revuluția」 作曲・台本:エイドリアン・イオルグレスク (1時間8分)
前口上にヴァイオリンソロの演技。酔拳のように何やら喚きながらバルトーク(?)の一節を易々と弾く。本題が始まると老夫婦の愚痴るようなアリア。服を脱ぎ下着になり、二人はベッドに入る。回る円形舞台には「カレーの市民」のように静止した演者達。死の表現か。スクリーンに老夫婦の表情がリアルタイムで映し出されるが、他にも戦争の場面、アジアの少女達の徒手体操、キム・イルソンの顔等…やがて第3の女がD durのアルペジオをボカリーズで力強く執拗に歌い上げる。天井付近にルーマニア語と英語の字幕が写されるが、それを読んでいると舞台が目に入らないので読めない。推測するに、全体的に皮肉・批評精神が感じられる。音楽的にはバルトーク「中国の不思議な役人」やショスタコーヴィチの流れ。ライトモチーフが効果的。終盤、群衆のカオスと化し、サイレンのクレッシェンドが断ち切る。オケはピットに隠れるが、打楽器奏者2人は上手と下手の花道に配置。僕の前列で70代後半位の女性が数人いて、内二人が時折恋人のように額を寄せ合い演技に対してヒソヒソ面白そうに話していた。日本における歌舞伎や相撲のような親しさで現代オペラを楽しんでいるのか。歌手は何れも美声で、PAをしているかと思うほどの声量。オーケストレーションは古典的な混合音色、中音域が多い等、やや常套的。
帰りは歩いた。先程行ったARCUB Gabroveni Hallの近くだったので。

イスタンブールからブカレストへ/ホテル外観/エネスコ像/パスタ店/ホテル界隈/国立歌劇場/ホテルへの帰路


弦楽四重奏曲


2カ月前、ISCMルーマニア支部の担当者から求められた登録に、24日(日)昼のコンサートに行くなら離れた場所なので送迎バスの予約が必要、とあり、希望したら、「朝出発、バスで1時間かかり、最後のコンサートは3時開演。戻ってからあなたのリハは5時以降だが正確には分からない。それでも行きたいか?」と返信があったので、「なら止める」と返した。そこで24日は近所を散策し子供向けの遊具がある公園を見つけ、帰りのバス乗り場を確認し、実際空港まで往復し、前日と同じ店でパスタを食べ、ホテルに戻り、くつろいでこのブログの下書きをスマホで打ったりした。

拙作のリハは18時後半の予定だったが、他のリハを観察するのも好きなので、17時前に会場に入った。第1ヴァイオリンとチェロ奏者だけでリハをしており(同姓)、「他の二人は渋滞で駐車場が見つからず…」との事。4人揃うと作曲家は僕しかいなかったので拙作からリハ。ラストシーンのハーモニクスがmpで、他の普通の音のppより大きく指定しているのを几帳面にmpを大きめに演奏していたので、「その必要は無い。みな同じ音になるよう意図している」と説明した。また中間部の賑やかな箇所で第1ヴァイオリンが埋もれてしまうところがあったので「ごめんなさい。僕のミス。dim.はもう少し後ろから始めて下さい」と、この2点のみお願いした。ダメ出しがそれだけなので、みな嬉しそうだった。ホールの響きはデッド気味。
間もなく1曲目の若手作曲家賞受賞による委嘱作品の作曲家、Madli Marje Gildemann Sink (1994年~ Estonia)が到着。アメリカ人かと思うほど英語が上手く、微に入り細に入り意図を流暢に伝えていた。特に音のジェスチャー、演奏家のジェスチャーすら重視し、「これで良いか」と演奏家から確認されると「さっきより良くなった」と答えていた。来場した作曲家は僕ら二人のみ。リハが終わってから第2ヴァイオリン氏に演奏者の名前の読み方を教えてもらった。
以下本番の曲順に私見:

  1. Madli – Faux Flora(造花)…スル・ポンティチェロのトレモロ、ハーモニクスのグリッサンド(チェロ)やノイズを多用。シリアス、禁欲的。絶望的な音。突発的なスフォルツァンド。つまり現代的でアノニマスな作品。3楽章構成で終楽章はグリッサンドのパルス等、動的。掌でチェロの胴を叩き、同じリズムが他の奏者のピッチカートに移る。アノニマスでは無く、自分しかやらないことを一つ、大きく構築すべきでは?
  2. 拙作 – Dicotyledon(双葉)…演奏前チェリストがチューニングに2分以上費やした。活発な箇所がベラルーシの四重奏団よりも指定のテンポに近い。演奏が終わり、第1ヴァイオリン奏者(女性)に手招きされ、ステージ上で彼女に"I was hooked!(釘付けになった)"、チェリストに「ナイス・チューニング!」と拍手に負けないよう叫び、奏者全員と握手した。席に戻る際、客席から多くのスマホのカメラが僕を捉えた。
  3. Adrian Pop (Romania)– Mătasea şi metalul (The Silk and the Metal)…一見古典的な素材をシュニトケのある種の曲のように現代に蘇らせる。音大の作曲の老先生が「私は現代の作曲のトレンドには異を唱えたいのだ」と言っている声がヒシヒシと感じられる(やはり'51年生まれ)。それには同感。素材も拙作と似ている点もあるが、僕の作りたい音楽はこうでは無い。1曲目にも共通するが、こういうことをするならこの編成では物足りない。
  4. ISCM USA Section – Charles Peck (1988年~) – Arcade…コンサートのフィナーレに相応しくトゥッティのfの和音のトレモロに始まり、異なるフレーズが交互に現れそれらがどの様なカタストロフィーを迎えるのか期待させる。それは想像を超えるという程では無かったが聴衆は沸いた(満員の3/4)。

カーテンコールは2回。漸く収まると、10名近くのISCMの作曲家(女性1)が次々と僕に握手を求め、"Beautiful", "Wonderful"等、祝福を頂いた。30歳位の香港の作曲家から「モード(旋法)…」「頑張って下さい」と日本語で言われ、「あなたも」と返した。
リハの時からカメラマンが、メジャーリーグの生中継のように腰の高さにカメラを構え、客席やステージ上を動き回り撮影していた。室内楽はラジオ、オケと合唱はテレビでルーマニア国内で放送される。
午後9時でも夕方くらいの明るさ。其処此処にホームレス、規制も支援も無いのか、自己責任、実力主義か。

バス停周辺/公園/弦楽四重奏会場へ/ARCUB Gabroveni Hall周辺/ホール/リハ/ホテルへの帰路


帰路・国立村落博物館


翌朝9:30、ホテルをチェックアウト。月曜、火曜は美術館が休館なので空港まで17km歩くことにした。前半は建物も興味深く、緑豊かで公園もあり快適。途中博物館の様な施設にバスで団体が来ていたが、大きい施設らしかったのでチケットを買い、入った。Muzeul Naţional al Satului(国立村落博物館)。17世紀から20世紀の家屋が一つ一つ解体され、列車や荷車、船でブカレストに運ばれ、現在のヘラストラウ湖畔にある博物館の敷地に再構築された。歩いていると50代位のルーマニアの大らかなご婦人にスマホのシャッターを押してくれと頼まれ、スマホを向けると青い尖り屋根の白い小屋にもたれ、片腕を頭上でくの字に曲げ、反対側の足もくの字に曲げる片足立ちのポーズを取った。俺をナンパしてるのか?…結婚式に遭遇。レストランで田舎の家庭料理の昼食。再び空港へ歩く。

以降、建物は普通の現代のものだし道路はアウトバーンのようで車がひっきりなしに飛ばすし、足は不貞腐れ、汗まみれ、軽い日焼けもし、只々苦行。街並みのこういう展開はリヴィウもフィレンツェも同様だが、今回は距離が長く暑い。なぜこんな事を、と自問しつつも、その土地の上部だけで無い実態に触れたい。長時間フライトで拘束される反動で、嫌というほど足を使いたい。海外に来ると極めて贅沢な暮らしをするが自分はもっと地べたを這いつくばって生きる人間、数年に一度、この様なサバイバル体験も禊みたいで達成感がある。年輪として刻まれよう。
16時、空港着。トイレで下着と靴下を着替え。下着は白く塩を吹いていた。21:35発。
機内やバスで聞こえるルーマニア語はたまに日本語そっくり…ドンミロッシドンミロ(Ladies and gentlemen)。

徒歩で空港へ/凱旋門/国立村落博物館/別の空港/アンリ・コアンダ国際空港/イスタンブール夜景

チェロ買換え

経緯

2021年3月から翌年10月まで大島純氏にチェロを習って以来、今も毎日1時間15分ほどチェロを練習している:基礎練習30分+曲(練習曲含む)45分。技術的な課題は、音程を正しく、雑音を減らす事。

  • 音程:ポジションと指の開きを覚え込む。指をバタバタさせない…可能な限り先々の音をあらかじめ押さえておく。
  • 雑音:移弦で、弦(特にA線)に対する弓の角度が大きいと弓の衝撃が雑音になる。また指の押さえが弓より遅い場合や、移弦で指が大きくまたぐと遅くなるし、泳いだ指が弦に触れてそれを弓で弾くとキーという雑音になる。大島氏曰く、またぐのでは無く「ずらす」…Dotzauerのアルペジオの練習曲で(No. 28, G dur)、それほど難しそうでは無いのに後ろの方にあるのは、その練習なのだろう。

大島氏のチェロの音はハミングの様にソフトで、演奏技術の違いかと思っていたが、一度自分の楽器を弾いて頂いたら自分が出す音とあまり差は無かった。自分の楽器も弱音器を付ければハミングの様になる。最初に手にしたチェロは2018年末に知人から譲り受けたLang Benedikt 1979だが硬めの音で、2020年8月、明るく鳴るAndrea Solzi 2019を購入した。それからほぼ6年経ち、先週チェロと弓を買い換えることを決めた。後回しにすればするほどお金は貯まり、チェロの腕も多少は上達するかも知れない、しかし老化もする。また、自分が候補に挙げた楽器や弓の幾つかは4月20日以降、地方都市の販売会場に移され、GWには関東の大展示会に出される…そこで「今」と決断した。

Mariotto Guido, Italy – Mantova, 2024

Thomas M. Gerbeth, Austria-Wien, 2021

試奏・購入

昨日、前回と同じ秋葉原にある島村楽器の弦楽器専門店で、カタログから選んだ6挺のチェロと2本の弓を、持参した自分の楽器や弓と比べつつ2時間半試奏し、Andrea Solziと弓:J. Mortier Silverを下取りして頂き、決済し、選んだチェロと弓を持ち帰った。
チェロ:Mariotto Guido, Italy – Mantova, 2024…ピアノに喩えるとA. SolziがYAMAHA C3なら、M. GuidoはWILH. STEINBERG S188。たおやかで陰りがあり、幾分古楽器のよう。1,000万円超の楽器も試奏したが、同様にC線すら柔らかい。廉価な楽器なら普通に出る剛直な音を出すのに逆に抑制が必要。基本通り弦に弓を密着させてから引く。また、A. Solziに比べ弦と指板が僅かに近く感じられ、押さえ易く音程が取り易い。塗装はピアノの表面の様にしっかりとした厚みがあり、ちょっとやそっとでは剥げそうも無い。
弓:Thomas M. Gerbeth, Austria-Wien, 2021…ウィーン・フィルの奏者をはじめ、世界中のソリストから絶大な信頼を寄せる現代屈指の巨匠、トーマス・M・ゲルベス。ドイツの伝統的な製作技術と、フランスの名工から受け継いだ現代的な感性を高い次元で融合させた(販売サイトから)。豊かで円やかな音が出る。特にA線のハイポジションからD線のハイポジションへのスラー。根元の金属のネジ等グリップ周辺に金色のメッキと真珠の様な装飾。

ピアノでもチェロでも高級モデルに触れると、そのデリケートさに初めは気難しい楽器と感じるが、日に日に望む音が出せるようになり楽しい。それは100回のレッスンをも凌駕する「論より証拠」体験。

※数日後、ヴォルフトーンで、通常のヴォルフトーンとは違う、カカカカ…と笑うような音がする(駒の角度は正常)→エンドピンがやや錆び付いている感じで出し入れが硬かったので、穴の接触部に潤滑剤をスプレーしたら解消した(ピアノも鍵穴が共振することはよくある)。

2フルート奏者と2チェロのための《カップルズ》《牧歌》完成

Phasma-Musicの今年のCDプロジェクトの一つ「2人のフルート奏者と2人のチェロ奏者による4分の四重奏曲」のために2曲作曲した。

《カップルズ》

2人のピッコロ奏者と2人のチェロ奏者のための《カップルズ》…チェロのカップルが交互に歌い、凍り付いていたピッコロのカップルが僅かに眉を動かし、チェロと共に浮遊する。
先月初旬着手。希な編成なので作曲プランを模索する中、敢えてフルートの事は脇に置き、左手だけでピアノを弾きながら旧作《ネオ・サミット湯河原》のように開放弦を使ってC durで朗々と歌い上げるチェロパートを探っていたら、一気に4分のスケッチが出来た。その後チェロを弾きながら修正し、新たなアイデアが浮かべば取り入れ、毎日数時間の作業を2週間ほど費やした。

©Nathalie Lombart: Unsplash

《牧歌》

2人のアルトフルート奏者と2人のチェロ奏者のための《牧歌》…四者が素朴なメロディーを呼応し合い「1/fゆらぎ」を作る。後半、アルトフルートの音のシャワーが降り注ぎ頂点へ。
《カップルズ》のスコアとパート譜を2月20日にPhasma-Musicに送ったが、3月初日にPhasma-Musicからメールで、同プロジェクトの募集枠がまだあるとの事。もう一曲作曲するなら次はアルトフルートと思い、軽い気持ちでピアノをレドレミ…と弾いたのが運の尽き!インスピレーションに襲われ、たちまち曲の大まかなプランが出来てしまい、数日で完成した。「パストラール」(牧歌)の語源はラテン語の「pastor」(羊飼い)。その神パーンは笛を吹く。